保育園・幼稚園のモンスターペアレント事情とその対応について
最近よく耳にするモンスターペアレントまたはモンスターペアレンツという言葉。略してモンペ。
保育士をはじめ、先生と呼ばれる職種の方など…この言葉を聞いて自分のクラスの保護者の何人かの顔がそっと頭に浮かぶのではないでしょうか。
よく新聞やテレビでもモンスターペアレントについて取り上げられているのを見かけますよね。
テレビ番組では、数々のモンスターペアレントの事例を紹介しては「本当にそんな人いるの?」と出演者が目を見開いて、驚きの表情を見せるのがもう鉄板となっていますよね。
そもそもモンスターペアレントって実際にいるの?どんな風に発展するの?
答えはいます。残念ながらどのクラスにも少なくても一人はほぼ必ずいるというのが現状となっています。それは小さなモンスターペアレントなのか大きなモンスターペアレントなのかそれぞれ異なりますが…。
これは一例になりますが、実際には同等に遊んでいるような場合でも「A君は身体が大きいから、うちの子がいじめられているのではないか」などという憶測からはじまるクレームだったり、過度な要望からはじまるクレームだったり様々です。
- 「お遊戯会でこの役をやりたいと張り切っているから主役をやらせて欲しい」から発展。
- 「インフルエンザにかかっているけれどこの行事だけは出させて欲しい」から発展。
- 「近くに公園がないけれど小学校に上がるまでに逆上がりをできるようにしたいので幼稚園でも個人的に教えて欲しい」から発展。
挙げたらきりがないくらいです。
まずは心境の理解・話をよく聞いて寄り添ってあげることが大事
モンスターペアレントと一括りにしても、自分がモンスターペアレントだと自覚している人もいれば、自覚していない人もいます。
モンスターペアレントの心境としては、まずは自分の子どもがとても可愛く愛おしく、尚とても心配であるという気持ちから、過剰な心配をしすぎてしまって、その思いを自分の中に留めておくことが出来ずに園側にクレームという形で表現するようです。
例えば自分の子が自己表現が苦手であると思い込んでいる親は、公園で一度友達におもちゃをとられてしまう光景をみると毎日保育園でもそうなのではないか?本当は保育園に行きたくないのではないか?とまで考えてしまうようです。
子どもといえども一人の人間です。純粋無垢な生き物のようにみえて、実際には「本当は僕も叩いちゃったんだけど…」と自分に都合の悪いことは避けて親に報告するような子もたくさんいます。
心配性なモンスターペアレントにとっては、子どもの一言を自分のなかで何度も何度も考えてどんどん事を大きくしてしまっている可能性があります。
親自身がどのような幼少期を過ごしてどのように育てられてきたかの環境などによっても変わってきますので、そこは簡単に変えてあげられません。
この問題はとっても難題ですが、心境の理解をし、まずは話をよく聞いて寄り添ってあげること。これが一番の近道のように感じます。
クレームに発展しやすい・しづらいケースとは?
例えばご主人に「園のこのやり方っておかしくない?」「この先生のこのやり方って間違っていない?」などと相談した時に、「先生はこういう理由があってそうしたのではないか」「預かってもらっているのだから、あまり心配して先生を困らせないようにしないと」と客観的に考え、答えてくれるご主人がいれば、お母様の心配事はクレームには発展しづらくなります。
ですが「それはおかしい」と一緒になって心配してしまったり、人によってはお父さんが園に怒鳴り込みにくるというケースもありますので、そういったケースの場合だと2人が話せば話すほどどんどん事が大きくなってしまいます。
新人のうちはモンスターペアレントがいるとそれだけで気持ちが滅入ってしまいますが、どうしてこの保護者はこのような要望をするのか?とクレームの背景にあるものに目を向けると案外身近なところに答えが隠れていることがありますよね。
この記事について
筆者:ももちゃん
保育歴:9年半
投稿日:2016年6月22日
記事編集:はる蔵
編集後記「モンスターペアレントのターゲットが若い新人さんの場合」
はる蔵が新人の頃、あるママさん集団がいまして、新人保育士への視線がとてもこわかったことをよく覚えています。
このように、特に新人さんはモンスターペアレントからキツイ対応・態度をされることが多いかもしれません。
なぜなのか?それは、まだ信頼関係ができていないから…が一番多いと思われます。
新人さんであれば、保護者はあなたよりも人生の先輩・社会人としての先輩も多いことでしょう。なおかつ出産・子育て経験もあるのです。
まだ社会人としても、保育士としても、未熟な新人さんに「ああだ、こうだ」と説明されても、なかなか納得いかない方もいらっしゃいます。これはモンスターペアレントに限らず。
例えば「前にはこんなこともあった。あの先生はうちの子をしっかり見てくれてないから担任を変えて」というモンスターペアレントがいた時、その心の裏側はどうなのか?そんな風に考えることも大事です。つまり、例え理不尽なことであれクレームの本質に目を向けること。
この場合「世界で一番可愛い我が子。新人ではなくベテランの保育士にみてもらいたい。大事な時期だからこそ、よりそう思ってしまう。だから、新人の先生のあら探しをして攻撃してしまう…」などが考えられますよね。
以前保護者の方に保育士・保育園の不満を教えてくださいといったアンケートを募集したことがあるのですが、その時のご回答が以下。
保育園に入る時、子どもも親も保育士に対しての興味は強く、特に親からすると大切な子どもを任せるので厳しい目で見てしまう事もあると思います。
若い保育士には申し訳ないですが…やっぱり不安があります。任せても本当に大丈夫なだろうか?という不安はなかなかとれません。特に0歳児・1歳児であれば、やはりベテランの保育士にお願いしたいというのが本音です。任せる保育士さんにお子さんがいて育児の経験があり、ベテランとなるとなぜかそれだけでも親の立場としては安心します。
厳しい意見ですけど、これが親心としてある意味普通の感覚なのかもしれませんね。
とは言え、新人さんだって育ちませんし、そんな簡単にこの要望は受け入れられませんが…。
よって「クレーマーだから・モンスターペアレントだから」と、一言で対処してしまうのではなく、クレームそのものの対応はもちろん、その本質に目を向けてみることも大事なことだと思います。新人さんの場合は特に、まず信頼・理解してもらえることからはじめてみてください。
今、モンスターペアレント問題で悩まされているのであれば、この記事「保育士と保護者のトラブル…その対応について」もとても役立つと思うので、是非お読みくださいね。
スポンサーリンク
カテゴリー:保護者
私が2歳児クラスを担当している時のことです。衣服の着脱の練習をし、子ども達に自分のロッカーに衣服を入れるといったことを教えていたのですが、保護者から「私の子どもの服じゃないものが入っていました」と言われることもありました。
子どもの人数は27人いて、その子どもの人数に対する保育士の数がギリギリ、もしくは少ないこともあり、入れ間違いをしていることに気づくことができませんでした。
そのようなことが続いたので、子ども達が寝ている時間に27人分全部衣服が間違って入っていないかなどチェックしましたが、午睡後にはまた服を着替えさせないといけません。
保育は時間との闘いなので、ゆっくり着替えさせることはできないですし、早くおやつも済ませなければいけません。その後もやることはたくさんありますし、子ども達を見守ることもあります。
しかし翌朝、保護者の方から「また間違って入っていましたよ」とクレームを言われることがありました。
時間も余裕もなく子ども達の安全を見守る大変な保育士のお仕事。このお話はモンスターペアレントとまではいきませんが、保護者の方には「少しくらいこのお仕事のご理解を…温かい目で…」と思ったこともありました。
保育士は保育のプロでりますが、人間のプロではありません。
なので、人間間違うこともあり、考え方も様々です。
ましてや、新人の保育士は頭の中での知識や常識を教科書や生きてきた環境でしか学んでいないのは確かです。
なので一緒に学び、考えていく必要があると思います。
しかし、クラスの全員がモンスターペアレントではないので、まずはよく子どものことについての質問、相談のある保護者は担任だけでなく、周りの先生にも伝えて置き、何かあった時には一緒にフォローできる体制づくりも大事なのではないでしょうか。
モンスターペアレントに怯えすぎ。
確かに、モンスターペアレントが増えているのも、クラスにそういう保護者がいるとやりずらいのは分かります。
しかし、なぜ増えたか。なぜモンスターペアレンㇳを嫌わないといけないのか。
それは、園の対応に問題があるからだと思います。
クレームの意見を聞いて、理解して、説明することは大事です。クレームの意図を理解しようと、保護者の気持ちに寄り添うことも大切です。
しかし、無理なお願いをしてくる保護者の気持ちに寄り添っても、答えは同じですよね?
そこで、しっかり断れる保育者がいないとモンスターは増える一方だと思います。
インフルエンザだけど出させたい。私の子どもを主役にさせて。こんな無理なお願いに少しでも迷ったそぶりを見せたら、それをいいことに、他のお願いもしてくるし、他の保護者も言ってくることになると思います。
もちろん、クレームの内容にもよると思いますが。
「私たちの園を選んで来ているのなら、私たちに保育のことはお任せください」と断言できるといいと思います。