落ち着きがない・まとまらないクラスを担任…どうしたらいい?
私が保育士をしていた期間、ほとんどが『落ち着きがない』『長時間じっとしていることが苦手』なクラスでした。
落ち着きがないクラスも、一人一人丁寧に支援していけば子ども達が何に困っているのかが良く分かるのですが、やはり担任としてそのクラスを受け持っている以上、『このクラスをしっかりまとめあげなければ』という、保育士のプライドも出てきます。
私も自分の保育士のプライドを守るために一人翻弄し、から回って、涙することがほとんどでした。
保育年数も3年を過ぎると、保育士世界では何故かもう中堅ポジションという妙なプレッシャーもあるんですよね。子どもが話を聞かないのは担任のせい、なんて言われている気がして、その頃の私はとてもピリピリしていたと思います。
話を聞けない・集中力がない・理解力に欠けるクラスを受け持つ
ある4歳児クラスを受け持った時のお話です。前年度の担任から「とにかく大変だよ。」と聞いていたこともあり、覚悟して臨んだのですが想像以上でした。
1分と話が聞けない。聞けないのではなく、聞く意思が全くない子がクラスの8割。残りの2割の子は聞いているようで心ここにあらず…といった感じのクラスでした。
『これは、長期戦になるかも』と思いましたが、長期戦どころか4月の時点で『あ、無理無理』と白旗をあげたくなるほど疲労困憊してしまいました。
とにかく子どもが私の方に注目しないことには話をしても無理だと思い、試行錯誤を重ねる日々が続きます。
例
- 「はい、お話しするよー。」では、もちろん無理。
- とりあえず、私の十八番である手品をしてみる→子ども注目→伝えたい用件を一件だけ伝える(トイレに行きます!)→子ども達半分くらい理解(は、半分…)
- 絵本も乳児用の短い話を選んで読む→集中力が続かない
- ゲームをしてみる→ルールが理解できずに早々にみんな戦線離脱
とにかく集中力が続かないのです。
あれやこれやとなけなしの自分の保育の引き出しを出すのですが、4月で全て出尽くしました。
保育の方法を変えて改善した事例
途方に暮れていた私に、一緒に副担任としてクラスを運営してくれたパート保育士さんがアドバイスして下さいました。
「これはもう話を聞かせるという概念を捨てよう。ちょっと私もやってみたいことがあるんだけれど試してもいい?」と、ある提案を持ちかけられました。
大ベテランのパート保育士さんだったので、是非お願いします!と、すがりつく形で保育をお願いしました。
そのパート保育士さんの『子どもの集中力を育てる第一段階』として取り入れた保育が、かけっこです。ただのかけっこではなく、笛の音が鳴ったらその場に止まるというゲーム的な要素を含んでいます。
笛の音を良く聞いていないと止まれない、そのため耳をよく働かせる必要がある。走る、止まると言う静と動の動きがあるため、子ども達も飽きない。
もう見た瞬間に拍手を送りたくなるほど、素晴らしい保育内容でした。
ルールも単純なため分かりやすいですし、何より子ども達が楽しそうだったのです。
「4月の段階ではこれで花マルだと思うよ。今後のことは、一緒に考えて行こうね。」と言われ、とても心強く感じました。
『落ち着きがない』『話が聞けない』『まとまらない』クラスは、たくさんあると思います。
4月の時点で、落ち着かせようと思うのは不可能に近いです。じゃあ、来年の3月になったら何分くらい座って話を聞いてほしいのかを4月の時点で考える必要があります。その目標に向かって、保育内容を考えていくのです。
結果的にこのクラスは、最終的に3月にはそれなりに長い絵本1冊ならば座って見られるようになりました。
パート保育士さんの鮮やかな保育内容はばっちりと盗ませていただき、その後の保育に活用させてもらいました。
3歩進んで2歩下がっても、1歩は前へ進んでいます。保育ってそれで十分なんじゃないかなぁと今になっては思います。
この記事について
筆者:yuuna
保育士歴:8年(幼稚園教諭の期間も含む)
投稿日:2016年6月20日
記事編集:はる蔵
編集後記「抱え込まず、無理ならSOSの信号を…子どもの安全が第一」
問題を改善し、結果的に進展と至った事例、とても参考になりました。
試行錯誤することの大切さを改めて実感しました。まずは嘆くことよりも、いろいろ試してみることが大事ですね。
そしてこの記事を読んで、まさかあのクラスではないのか…と錯覚するような体験が自分にもあります。はる蔵が保育士1年目の時に受け持った子ども達が、まさに落ち着きがない・まとまらないクラスだったのです。
yuunaさんのように、役立つ実践的な内容ではないのですが、そこで少し視点を変えたお話を1つさせていただきます。
3人の保育士が2歳児18人のクラス担任に配属された時のお話です。
- 経験豊富な大ベテラン保育士【Lv.99】
- 4年目の中堅保育士【Lv.50】
- 新人保育士のはる蔵【Lv.1】
新人は除き、本来ならば余裕の戦力ですよね。
それが、新人の自分だけならまだしも、心強い先輩保育士さえも大苦戦。「こんなクラスはじめて…」と言われるほどの、問題多きクラスでした。
一例になりますが、虐待のおそれがあり心の発育にも問題を抱えている子、その当時はグレーだったが、後に障がい児と診断された子まで、とにかくみんな個性豊かなクラスでございました。
個別で接すれば一人ひとりとっても可愛いのだけど、それが集団になると恐ろしや…でして、常にSOSの信号を出してましたね。
この時、臨床倫理士の先生が定期的に訪れてくれて「この子もあの子も気になるが、この状況で保育をしている保育士の心も心配」だと言ってくました。
そして、あれこれ試してみるものの手の施しようのない感じで、あっという間に一年過ぎてしまいましたが、とにかく大きなケガをしないようにだけを心掛けた常に試行錯誤の保育となりました。保育士の人手も足りずSOSも虚しく、なんだかんだ3人で踏ん張り、運よく何事もなかったみたいな感じです。
そのSOSとは、応援をお願いする意味と自分たちのリスクヘッジという意味がありました。
「子ども達を安全に保育できない」という信号を出しているのに、何も助けてくれず、もしも何かあったら、その責任は…みたいな感じです。
自分が担任だからと何とかしなければという気持ちも、保育士としてのプライドも分かりますが、無理なものは無理。
もちろん試行錯誤もろくにしないで助けを求めるのはプロとして失格だと思いますけど、状況を変えるために試行錯誤してもどうにもならないなら、子ども達の安全のためにも積極的にSOSを出すべきでしょう。
発達段階で言ったら、2歳児になるとこれができるようになるとか、こんなことをしなくなってくるとか、ある程度の目安はありますが、それは目安にすぎません。
まずできることは全力でしてみて、それがダメなら抱え込まずSOSを出してみてくださいね。子ども達の安全が第一です。
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子どもたちの集中力…なかなか難しい課題ですよね。
クラスの雰囲気もあるので静かな子達が集まっていればともかく、ヤンチャな子が多く集まると普段はなしをきけるような子達も、一緒になって脱線してしまうのがとっても難しいところです。
先生の声よりヤンチャな子の声のほうが大きく響き渡る場合もあり、「お願いだから一人で脱線しておくれ~まわりに影響しないで~」と何度思ったことやらです。
笛をふいて集中力アップ。いいですね。子どもたち課外の体操で簡単なかけっこなどは喜んでやっていることもあるので、体操の先生のやり方もヒントになることがたくさん隠れていそうですね。
4歳児は一番難しい、と聞いたことがありますが、本当に大変だったのですね。
私は幼稚園では年長児、保育園では未満児と障害児の担任のみだったのですが、子供の集中力をいかに持続させるかという難しさはどの年齢の担任をしたとしても大きな課題のひとつだと思います。
子供が理解しやすい簡単なルールを取り入れたゲームというのは、とてもよいアイディアですよね。子供は自分が興味ある物事には食い入るように集中しますので。
子供の気を引き付けるということは大変だと思います。しかし、それも先生の保育の進め方ひとつだと思います。子供たちが集中してくれないからとオドオドしていたのでは、子供たちのやりたい放題になってしまいます。だからといって大きな声をあげて叱るのも逆効果です。
いつも読んている本や手遊びはアレンジしてみたり、わざと小さな声で話してみたり、保育に変化をつけることも大切だと感じます。子供も日々成長しているので、先生の接し方ひとつで子供たちもとてもおりこうさんになります。また、信頼関係も重要になってくると思いますので、子供たちとのスキンシップも大切にして保育を進めていけたらいいですよね。
子どもたちがどのような体調で、どのような気持ちで園に登園してくるかは様々です。
まずは、当園時は、何をどのようにしていくのか(シールを貼る、お片づけをするなど)園の決まりや、時間などしっかりと子どもたちに伝えていくことが大事だと思います。
4歳にもなると、自分を認めてほしい、自分はできる、すごいぞという個人の存在つまり居場所をしっかりと作ってあげることが大事だと思います。
なので、一つ一つの行動を認めてあげること、また、そのできたことをクラスで認めてあげることで自分はクラスの一員であるということも知るきっかけになり、団体での共有、団体行動の意味を知り、徐々にまとまりのあるクラスづくりができていくのではないでしょうか。
お気持ちわかります。
どうしても、自分の持ったクラスが自分の評価につながりますね。
私も落ち着きのないクラスを持ったことがあります。
散歩に行っても、列に間が空いてしまう。話を聞くときに椅子や手で遊び始める。製作など、説明を聞いて実行することができない。
本当に苦労した1年でした。
私が実行したのは、リズムに合わせて体を動かしたり、説明したことをクイズに出したり、地道にコツコツ行っていきました。
ベテランの人の意見を参考にしたり、ネットで調べてみたり、本を参考にしてみたり。
ふと、気が付くと、このクラスを持たないで、落ち着いた雰囲気のクラスの子どもたちを持ったら、やっていなかったことばかり。
その1年で、きっと自分自身も成長しました。
こういうことで、中堅からベテランになっていきます。
そして、こういうクラスは1度成功したことを褒められ始めると、どんどん周りがマネして変わっていくものです。
不思議なことに、苦労したクラスの方が、心に残るものです。